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静 岡鉄道
本 社所在地
静岡市葵 区鷹匠一丁目1番1号 静鉄鷹匠ビル
設   立
1919 (大正8)年5月1日
資 本金
18億円
公 式Webサイト
http://www.shizutetsu.co.jp/index.html
目 次
1.静岡都市圏と静岡鉄道
2.静岡鉄道の地方民鉄としての先進性
3.静岡鉄道とJR東海道本線の比較

新静岡駅 2011.12

日吉町駅を出発し新静岡駅へと向かう 2011.5

1.静岡都市圏と静岡鉄道  

 静岡鉄道(静鉄)の唯一の鉄道線である「静岡清水線」は静岡と清水を結ぶ営業キロが僅か11kmの短い鉄道で、静岡市と清水市が合併した2003年4月 以 来、全線に わたって静岡市内を走る鉄道となった。全線複 線電化、日中でも片道6〜7分毎の運転本数が確保されているなど、大手民鉄 と遜色ない都市型鉄道として機能している。また新静岡と新清水の両ターミナル はJR線と接続して いない独立した駅で、途中の駅も基本的にJRと同一の駅は無い(草薙駅は最も近接しているものの、150m程離れた別々の駅)。このようにJRや大手 民鉄などの他の鉄道と接続していないというのも地方民鉄としては非常に珍しいと言える。

 静岡市は南北に長い地形だが、北部は山がちで人口の大半が南の狭い平野に集中している。そのため旧静 岡市と旧清水市の市街地は完全に連続していて、静鉄の沿線も市街地が途切れることがない。一方で静岡の狭い平野部に収まりきらなかった人 口は焼津市や藤枝市などに流出し、これらの市域がベッドタウン化した。 そのためそれら郊外と静岡の都心部を結ぶ鉄道輸送としてはJR東海道本線がその任務を果たしている。それに対して静鉄はむしろ都市内輸送の役割が強いと 言 える。つまり市街地 を走る路面電車に近い機能を持っていると考えられ、近代的なその姿はむしろLRTと言っても良いのかもしれない。そういった意味では静鉄とJRは静 岡〜清水間で競合しつつ もその役割は自ずと違ってくるとも言えよう。その具体例の1つとして1996年4月の急行運転の廃止(全列車が各駅停車化)がある。つまり静岡〜清水間の 直通客は速達性に優るJRに譲り、 静鉄は旧市街地間の都市間輸送ではなく、より短区間の都市内移動の輸送に比重を移したと思われる施策であった。

 しかしここへきて変化が訪れた。2011年10月にダイヤ改正を行い急 行運転が復活したのだ。これは新静岡駅の再開発により商業施設「新静 岡セノバ」が開業することに伴うものである。つまりこれまで静鉄の新静岡 駅は静岡の都心部の玄関口ではあったが、駅自体は単なる通過点(以前から「新静岡センター」という商業施設はあったが…)に過ぎなかったのだが、この新静 岡セノバの開業によっ て新静岡駅自体が目的地として集客力を発揮し始めたわけである。そうなると清水や草薙方面から静鉄に乗って新静岡駅に行くという強い動機付けが与えられる ため、静岡〜 清水間においてもJRと競争に挑める状況が新静岡セノバの誕生によってもたらされたということなのであろう。この新たな戦略が輸送実績にどの程度のインパ ク トを与えられるのか、大変興味深い。


静岡市街地(JR静岡駅前) 2010.8

新静岡駅を出発する新清水駅行き、周囲は下町の雰囲気 2011.5


2.静岡鉄道の地方民鉄としての先進性  

 先にも少し述べたが、静鉄の静岡清水線は複線電化CTC化され、各駅にICカード対応の自動改札機を備え自社発注のステンレス車両が日中でも片道6〜7分毎に発着している様子は、大袈裟に言えば大手民鉄かと錯覚し てしまうほどである。
 まさに政令指定都市静岡市≠フ面目躍如といった感もあるのだが、同じ政令指定都市でも新潟市の新潟交通、熊本市の熊 本電鉄がそれぞれ廃止・ 又は経営不振な状態なことと比べてもその差は歴然としている。むしろ同じ静岡県には遠州鉄道と いう浜松市を地盤にした優秀な地方民鉄もある。これら地方民鉄の明暗を分けたものは何なのかというのが非常に興味のあるところだが、熊本電鉄や新潟交通が 都心部に直結していない(いなかった)ということ が最も大きな理由であろう。静岡鉄道はJR線とほぼ並行しているという悪条件ではあるものの、細かな駅の設置・高頻度な運転間隔、そして僅かな距離ではあ るが静岡側はJRよりも都心部に立地しているという条件で、利用者を獲得できていると考えられる。こういった点では広 島電鉄とJRの競合関係に似ている ところがあるように思う。
 国鉄末期からの静岡都市圏におけるJR東海道本線の輸送改善に伴い相対的に静鉄の競争力は以前よりも弱まった部分はあるだろうが、それでも縮小均衡に 陥ることなくむしろ「新静岡セノ バ」の開業に見られるように攻めの姿勢を見せているところは大いに評価すべきだと思う。そんな静鉄の弱点は、鉄道としてのネットワーク性であろう。高 松琴平電鉄伊予鉄道富 山地方鉄道に見られるような複数の鉄道路線によるネットワークが構築されれば、静鉄の更なる飛躍に繋がるものと個人的に思う。そういった意味では 現在、静岡市内の路線が検討されているLRT構想は静鉄の静岡清水線とぜひ一体化させるべきだと考えている。


間接照明、電光掲示板、サイン、シースルー改札など 都会的な雰囲気の新静岡駅  2011.12

新静岡駅は2面3線のコンパクトなターミナル  2011.12

屋根の作りなどに時代を感じる1990年代初頭の新静岡駅 1991.11

全てが近代的な装いにリニューアルした新静岡駅 2011.12

狐ヶ崎駅 右側の線路は東海道本線 2011.12

狐ヶ崎駅 橋上駅舎の内部はコンパクトながら機能的かつ近代的 2011.12

▼新静岡駅、10月1日から供用 バリアフリーに対応 (2011 年9月6日『静岡新聞』)
 静岡鉄道などは5日、静岡市葵区鷹匠の再開発商業施設「新静岡セノバ」の開業(10月5日)に伴う静岡鉄道新静岡駅や新静岡バスターミナルの供用につい て概要を発表した。交通結節点としての利便性をより向上させ、セノバ開業で懸念される交通渋滞やバリアフリーに対応する。
 改札口を移設するなど整備した新静岡駅は10月1日に供用を開始する。県内鉄道駅としては自動改札のほか初めてシースルー型改札口を設け、内部のカウン ターで係員が運賃精算などに応じる。ホームにはLED(発光ダイオード)を点滅させて列車の接近などを知らせるスレッドラインも採用した。
 建設工事のため一時閉鎖していたバスターミナルの供用再開は10月11日。新静岡セノバ開業時には周辺道路で交通渋滞が予想されるため、安全性に配慮し て遅らせた。新静岡周辺とJR静岡駅前のバス乗り場を変更し、ダイヤ改正も行う。ターミナル内を利用するバスの本数を減らす一方、「新静岡御幸町バス停」 を新設するなど再編し、交通集中を緩和させる。
 一部乗り場を除いて全面ガラス張りのフルスクリーン型ホームドア方式を 採用するほか、井戸水を再利用した冷房システムを待合スペースに設置する。
 タクシー乗り場には9月下旬から新たに「タクシー接近表示システム」を備えた看板を設け、インターホンによる配車依頼なども可能となる。


新静岡バスターミナル 2011.12

新静岡バスターミナル 2011.12

 終電の発車時刻が23時半というのは政令指定都市≠ニしては、早いと言えるあろう。但しJR静岡駅の最終電車は、上下線とも23時40分頃なので静 鉄だけが早いというわけではない。逆に静鉄が終電を0時近くまで延長すれば、JRに対して競争優位になることも考えられる。どの程度の需要がある かは未知数だが…。
 新静岡駅の乗降客数が前年比2割増というのは、新静岡セノバの効果が顕著に現れているということだろうが大したものである。
▼静鉄が終電延長検討 今夏にも週末試験運行 (2012 年5月25日『静岡新聞』)

 静岡鉄道が最終電車の延長を検討している。今夏にも、最も需要が高いとされる週末に限って試験運行する方向で調整中。利用者の動向を踏まえ、実際に延長 するかどうかを最終判断する。
 静岡清水線(11キロ)の終電発車時刻は現在、新静岡、新清水駅ともに午 後11時半。具体的な時間や本数などは今後詰める。終電延長が実現すれば2004年以来で、多様化する利用者ニーズに対応し、新規顧客の開 拓につなげる狙いがある。
 昨年10月の大規模なダイヤ改正に伴い、利用者を対象にアンケート調査(2月実施)を行った結果、「終電の延長」を望む声が最も多かった。
 同社によると、昨年10月に大型商業施設「新静岡セノバ」が開業し、鉄道利用客は増加傾向にある。セノバが直結する新静岡駅の乗降客数は前年比2割増と伸び、「定期券利用者もリーマン・ ショック以前の水準まで回復した」(鉄道部)。ダイヤ改正で平日午前6〜8時台の通勤・通学時間帯に復活させた急行も、増便を望む声があるなどおおむね好評という。
 こうした状況を踏まえ、同社は終電延長を柱とする2012年度のダイヤ編成の方向性を検討している。

 新静岡セノバの効果も大きいようだが、柚木駅近くに開業した「マー クイズ静岡」によって同駅の利用者が大幅に増加したとのこと。
▼静鉄柚木駅、乗降客4倍に 「マークイズ静岡」開業効果で (2013 年4月18日『日本経済新聞』

 静岡市の大型商業施設「マークイズ静岡」が開業した効果で、最寄りの柚木(ゆのき)駅の13、14日の乗降客数は開業前の週末の4倍に増えたことがわ かった。静岡鉄道がまとめた。渋滞を敬遠して自家用車ではなく、同社の鉄道を利用して来店した客が多かったためとみられる。
 マークイズ静岡は12日に開業した。開業後初の週末となった柚木駅の乗降客数は13日が約5,000人で、14日は約6,000人。いずれも6、7日の 4倍となった。前年同期の週末2日間と比べても3〜4倍と、大幅に増えた。
 周辺に大学や専門学校が集まる柚木駅は休日よりも平日の乗降客数が多い。15日以降の平日の数字は、ほとんど変わっておらず、マークイズ静岡の買い物客 が13、14日の大幅増の要因となったとみられる。
 マークイズ静岡は山梨県など広域からの集客を見込み、約1,900台分の駐車場を備える。道路渋滞を防ぐため、鉄道やバスなど公共交通機関の利用を呼び かけている。


3.静岡鉄道とJR東海道本線の比較  

 先ほどは静鉄とJRは機能分担しているという考えを述べたが、それでも両者を比較したくなり駅別の乗車人員の推移をそれぞれ下記の通り纏めてみ た。
 気になるのが2008年度からの新静岡駅の乗車人員の大幅な減少傾向だ。この流れに対して2011年秋の新静岡セノバ開業がどのように影響するかが目 下の課題であり、大き く増加していることを期待していたのだが、やはり2011年度から新静岡駅の乗車人員数が大きく伸びている。新静岡セノバ開業が通年で寄与する2012年 度がどこまで伸びているか、引き続き気になるところである。
 また1998年10月のJR東静岡駅の開業によって近くの静鉄長沼駅に悪 影響が 出ているかと思いきや近年はむしろ増加傾向にある。これは東静岡駅開業に伴う周辺の都市化が好影響を与えているものと思われる。また運賃はJRの静 岡〜東静岡間が140円に対し静鉄の新静岡〜長沼間が130円と僅か10円だが安いのは特筆される。地方民鉄がJRに対して運賃で競争力を持っている のは珍しいと言えるだろう。もっとも対草薙や対清水ではJRの方が安いのだが…。特に静鉄の新静岡〜新清水とJRの静岡〜清水で比較すると静鉄が60 円も高くなる。この点からも静鉄が静岡〜清水間の競争には拘らず、より短距離区間を確実に拾っていこうとする戦略が見え隠れしている。初乗りで120円 という水準はJR東海(140円)よりも安く、他の鉄道事業者と比較しても最低レベルになるので、評価すべきではないだろうか。

▼静岡鉄道の1日平均乗車人員の推移 (単位:人)

営業`
運 賃
1985年度
1990 年度
1995 年度
2000 年度
2005 年度
2006 年度
2007 年度
2008 年度
2009 年度
2010 年度 2011年度
新 静岡
0.0

10,812
11,290
11,089
10,765
9,171
11,070
10,994
8,877
7,445
7,253
8,173
日 吉町
0.5
\120
334
408
477
494
646
581
577
695
843
799
753
音 羽町
1.0
\120
986
1,160
987
696
823
680
684
791
714
603
799
春 日町
1.5
\120
911
861
818
843
888
714
725
856
754
683
690
柚 木
2.0
\120
2,049
3,044
2,864
1,825
1,631
1,397
1,360
1,445
1,337
1,215
1,170
長 沼 3.1
\130
699
690
675
520
802
669
686
1,033
987 901
892
古 庄
3.8
\130
1,961
1,945
1,754
1,417
1,631
1,353
1,366
1,608
1,523
1,386
1,414
県 総合運動場
4.8
\150
2,744
2,580
2,496
1,601
1,783
1,387
1,373
1,716
1,560
1,291
1,261
県 立美術館前
5.7
\170
903
1,109
1,018
839
976
846
836
988
880
841
831
草 薙
6.4
\190
4,769
4,719
4,821
3,763
3,861
3,749
3,694
3,693
3,451
3,629
3,668
御 門台
7.4
\220
2,123
1,855
1,770
1,364
1,389
1,244
1,281
1,442
1,337
1,324
1,321
狐ヶ 崎
8.3
\250
2,084
2,129
2,101
2,346
2,527
2,366
2,395
2,628
2,497
2,396
2,415
桜 橋
10.0
\270
2,493
2,834
2,696
2,221
2,247
2,135
2,140
2,242
2,081
2,177
2,194
入 江岡
10.3
\290
392
417
399
297
434
259
260
418
391
277
275
新 清水
11.0
\290
5,583
4,709
4,049
3,522
3,243
3,492
3,457
3.282
3,076
3,558
3,543
(『静岡県統計年鑑』『静岡市統計年鑑』等より作成)

▼JR東海道本線 静岡〜清水の各駅の1日平均乗車人員の推移 (単 位:人)

営業`
運 賃
1985年度
1990 年度
1995 年度
2000 年度
2005 年度
2006 年度
2007 年度
2008 年度
2009 年度
2010 年度 2011年度
静岡
(除く新幹線)
0.0


(44,858)

(51,751)
66,799
(48,449)
62,308
(44,158)
60,260

60,372

60,822

60,192

58,115

58,386

58,162

東 静岡
2.5
\140



5,139
6,327
6,330
6,425
6,668
6,787
7,886
7,144
草 薙
6.0
\180
5,458
8,099
9,534
8,393
8,144
8,391
8,456
8,519
8,585
8,700
8,621
清 水
11.2
\230
11,121
13,118
13,170
11,699
11,278
11,273
11,329
11,374
11,049
11,001
10,822
(『静岡県統計年鑑』等より作成)

 狐ヶ崎駅から入江岡駅の約2kmはJR東海道本線と静鉄は完全に並行している。複線電化の線路が並行している様子はあたかも複々線区間を思わせるものが ある。周囲は住宅やマンションが密集する市街地で複々線¥態に相応しい都市化された景観となっている。
 尚、この区間の狐ヶ崎駅や桜橋駅は静鉄の中間駅としては乗車人員が多い方に属する。そのためもしJRがこの区間(草薙〜清水)に新駅を設置するような ことがあると、静鉄の利用者数への悪影響は少なくないものがあると予想される(例えば、こ の辺にとか)。今のところ、そのような動きはないようではあるが…。
 また一方で静鉄の狐ヶ崎〜桜橋間は営業キロで1.7kmあるが、実はこれは静鉄の中で最も駅間距離の長い区間である。そのためJRに新駅を作られてしまう 前に静鉄がこの間に駅を設置することも有効な気がする。ちょうど沿線に静岡市営の追分団地があるので、駅名は「追分」で良いのでは(笑)。

狐ヶ崎駅付近を通過するJR東海道本線下り普通列車 2011.12

狐ヶ崎駅を発車する新清水駅列車 2011.12


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