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高松琴平電気鉄道
本 社所在地
香川県高 松市栗林町2丁目19番20号
設 立年月日
昭和18年11月1日(鉄道会社3社の事業統合によって設立)
資 本金
2億 5,000万円
公 式Webサイト
http://www.kotoden.co.jp/

2011.11瓦町駅

2011.11高松築港駅を出発した長尾行き

 高松市は宇高連絡船就航によって「四国の玄関口」としての地位を固め、瀬戸大橋の開通によってその優位性が失われるという危機感もあったが、今なお 四国全体の中枢機能が集中する都市としての地位を維持している。人口こそ419,429人(2010年10月現在)で、松山市の517,231人(同) に次ぐ四国第2位なのだが、国の出先機関や大手企業の支店・営業所等の四国全体の中枢管理機能は高松市に集中する傾向が続いている。そのため都心部の オフィス街 や商業施設の充実度は、他の40万都市とは比較にならない程の高い水準にあり、高松市が所謂「札仙広福」に次ぐ言わば「準地方中枢都市」であると言えよ う。また 香川県の 人口は約99万6千人(同)で近年100万人を割っしまったが、面積は日本一小さい非常に狭い県で、人口密度で言えば比較的高い水準にあり、静岡県 や茨 城県よりも高いのだ。そのため都市化が進んでいる県だとも言えるだろう。10%通勤圏で定義される都市圏で見た場合、高松都市圏は約84万人 (2005年10月現在)となるが、高松市の(私個人の)実感としての都市規模は70〜80万都市である新潟市、静岡市、浜松市、岡山市、熊本市と遜色な いと言っ ても過言ではないような気がする(と言うのは褒めすぎか…)。

 さて高松琴平電気鉄道(琴電)は、そのような高松都市圏に3路線合わせて60kmの路線を展開している。そのターミナルは高松市の中心市街地に位置す る瓦町駅 で、琴平線の始発駅である高松築港駅と瓦町駅の間は長尾線の列車も乗り入れるため、日中でも毎時片道7本の電車が走り路面電車を除くと四国で最も列車の運転密度の高い区間と言える。ただそのターミナルの 瓦町駅の1日平均乗降客数は約1万3千人(2007年)で、JR四国で最大の乗降客数を誇る高松駅の同約2万5千人(2009年度)と比べると見劣りがす る。もちろん高松琴平電鉄は、高松駅に近い高松築港駅もターミナル的機能を有するため、乗降客が瓦町駅に集中しないという理由が大きいからなのだが。 それでも密集市街地の中を複線電化の線路が走り、ひっきりなしに電車が行き交う様子は、大都市の民鉄を思わせるものがある。

2011.11オフィスビルが林立する中央通り(国道11号)

2011.11四国電力本店(左)と高松高等検察庁(右)をバックに走る長尾行き電車

 琴電は近年3カ所で連続立体交差事業の計画が持ち上がり、その内2ヵ所は無事完成したが、最大の事業規模だった高松築港〜瓦町間の事業は中止に追い 込まれていしまった。まずは明暗分かれた連続立体交差事業から見ていくことにする。

▼高松琴平電鉄連続立体交差事業

【事 業の目的】
本事業は、高松市の中心市街地を南北に走行している琴電を高架化することで、地域の分断や、交通渋滞及び踏切事故を解消するとともに、新しい都市拠点「サ ンポート高松」へ高松築港駅を移転し、電車の乗り入れを行うことで、交通結節機能を強化し、県都高松市の都市機能を一層向上させることを目的として整備す るものです。

【事業の概要】
*事業者:香川県、高松市、高松琴平電鉄株式会社

*工事延長:(琴平線)2,586m (長尾線)956m

*踏切除却:28か所

*駅施設:高松築港駅、片原町駅、瓦町駅






 本事業は、平成12年3月2日に都市計画事 業認可を受け、これまで用地買収等を順次進めてきましたが、「琴電の経営破たんによる再生計画への移行」、「地価下落に伴う琴電の連立事業負担金への影 響」、「香川県・高松市の厳しい財政状況」など、計画当初には、予想できなかった大きな社会経済情勢の変化がありました。
 このようなことから、平成16年に発表された財政再建方策に沿い、平成16年度香川県公共事業再評価委員会に諮問し、平成17年2月16日に、「事業の 一時休止」の答申が出され、これを受け県は平成17年度から事業を一時休止してきました。
 再評価委員会より引き続き検討すべきとされた「本町踏切などの交通混雑の解消及び安全性の確保」、「サンポート高松への乗り入れによる交通結節機能の強 化」といった課題について、国・県・高松市・琴電などの関係者や学識経験者等で構成する高松琴平電鉄交差問題等検討委員会を設置し、平成17年度から平成 21年度まで当初計画案の見直しも含めて調査検討を行いましたが、その中で残った3案(現計画案、鉄道高架区間短縮案、道路高架案)いずれについて も事 業費等の課題があり、すぐに実施すべきではないという結論となりました。
 そのような中、前回再評価から5年経過したため、平成21年度再評価委員会に諮ることとなりましたが、社会経済情勢や県の財政状況は依然として厳しいこ とから、平成21年10月23日に平成21年度香川県公共事業再評価委員会に「事業中止」で諮問を行い、平成22年2月10日に同委員会より「事業中止」 の答申が出され、平成22年3月31日をもって、事業を中止しました。

香 川県Webサイトより


新高松築港駅のイメージパス(高松市Webサイトより)

2011.11都)高松駅南線 連続立体交差事業を前提とした広幅員が確保

(都)高松海岸線のイメージパス 片側3車線である高松市Webサイトより)

2011.11現在の(都)高松海岸線 建物はセットバックされている

2011.11高松築港〜片原町間

2011.11高松城の堀端を走る高松築港〜片原町間

2011.11変則交差点の本町踏切

2011.11市街地に囲まれた片原町駅

2011.11片原町駅 アーケード街が隣接

2011.11片原町〜瓦町間は多数の踏切が存在

2011.11瓦町駅を出発した琴平線電車

2011.11瓦町駅を出ると間もなく観光通り(4車線)を踏切で渡る

▼琴電立体交差を休止−厳しい財政に県
 (2004年10月14日 『四国新聞』)
 危機的状況にある財政の健全化に取り組んでいる香川県は、国や高松市と進めている琴電連続立体交差事業を、休止する方針を固めたことが13日分かった。 将来にわたって多額の費用負担が必要なことが要因とみられ、同市中心部の渋滞緩和や活性化の中核として期待される同事業は、事実上“凍結”状態となるもよ うだ。
 同事業は、サンポート高松に新設する新高松築港駅を起点に、琴平線、長尾線の計3.6キロを高架化。踏切28カ所を撤去して、市街地の一体的な土地利用 を可能にする。総事業費340億円のうち、香川県は約130億円を負担する。
 2000年3月に国から都市計画事業の認可を受け、用地測量や買収に着手。しかし、01年の琴電の民事再生法申請で、香川県と琴電との工事協定協議がス トップ。さらに、当初計画段階からの経済・社会的環境の変化や琴電側の事業費負担、瓦町駅ビルの改装構想との整合性などの問題が浮上しており、香川県は国 や高松市、琴電と今後の事業の進め方を検討していた。
 香川県は8月に公表した中期財政見通しの中で、05年度の一般会計について、244億円の財源不足が発生すると試算。大規模事業の見直しを進めてきた中 で、さまざまな課題を抱える同事業の休止を決めたものとみられる。ただ、同事業が高松市の都市機能向上の面で重要な意味を持つとの認識から、中止ではなく 休止とすることで、今後の経済情勢の変化などによる再開の可能性を残したもようだ。
 香川県が事業休止の方針を固めたことについて高松市は、「『連立』は市中心部再開発の根幹をなす重要事業。香川県からは休止の方向で調整していると聞い ていたが、今後、香川県との話し合いの中で対応を検討したい」と話している。

◆琴電連続立体交差事業 高松市中心部で東西の幹線道路を分断する琴 電の軌道の高架化により、交通渋滞や踏切事故の回避のほか、同市街地の活性化や再開発を図る計画。サンポート高松に新設する高松築港駅から琴平線栗林公園 駅手前までの2.6キロと、瓦町駅から長尾線花園駅までの1.0キロの区間が対象。28カ所の踏切を撤去し、コトデン瓦町ビルの3階部分に軌道を通す。県 が事業主体で、2000年3月に国の都市計画事業の認可を受けた。事業期間の予定は2010年度までの11年間。総事業費は国、県、高松市、琴電の合計で 約340億円。


▼シリーズ追跡 最終結論に込めた意味〜琴電 連立事業見 直し委 (2009年6月7日『四国新聞』)
「高架は難しい」本音
 琴電連続立体交差事業の計画見直しを検討してきた有識者委員会が見直し案として3案を選んだ。しかし、どの案にも課題が残ったまま。特定の案にお墨付き を出したとは言い難い。委員会は「これが最終結論」とし、解散してしまった。琴電の破たんや県の財政難でとん挫した連立事業はどうなってしまうのか。委員 会が最終結論に込めたメッセージをひもとく。
■3案どれも「△」
「車中心」時代遅れ 県へぎりぎりの意思表示


 「この会議に出席するのが苦痛だった」。連立事業の見直しを検討してきた高松琴平電鉄交差問題等検討委員会。委員の一人はそんな本音を漏らしたという。
  「会議が苦痛」とはどういうことか。議論が白熱し、結論を見いだすのに骨が折れたというのか。しかし、見直し案はどれも課題が残り、白熱した議論の成果と すれば、やや説得力に欠ける。
  「要はなにも決められない会だったんですよ」。委員長を務めた土井健司香川大工学部教授の言葉が「苦痛」の真意を指し示していた。
    ◆  ◆  ◆
  とにもかくにも、まずは三つの見直し案を見てみたい。
  選定されたのは、(1)現行計画通り高松築港駅から琴平線2.6キロ、長尾線1キロを高架化する(2)高架区間を国道11号以北に短縮する(3)本町踏切 を通るさぬき浜街道の道路を高架化する―の3案。
  事業費をみると、(1)は340億円。現行案はこの多額な事業費がネックとなり、一時休止に追い込まれた。高架区間を縮めた(2)は200億円、線路でな く道路を高架化する(3)は60億円と、ともに(1)に比べると安い。
  ただ、(2)は高架区間へ向かって勾配がつく国道11号から片原町駅間で東西方向の道路の一部が遮断される(3)はさらなる用地買収が必要―など、新たな 課題を抱える。
  では、どうして課題が残るにもかかわらず、この3案を選んだのか。
  「選んだというか、残ったという方が正しい」。土井教授は3案をそう表現する。

さぬき浜街道とフェリー通りの変則交差点の
中心にある「本町踏切」。

形状の複雑さと踏切の存在がラッシュ時の
渋滞を招いている。
(四国新聞Webサイトより)

(四国新聞Webサイトより)
  県によると、委員会は、事務局の県が示す9つの見直し案の中から、事業の目的である「本町踏切の交通混雑解消」と「サンポート高松での交通結節機能の強 化」の課題をクリアしつつ、費用対効果の優れた案を選ぶために設置した。課題の解決策を高架化に求めるのが基本路線で、そこにあるのはあくまで「高架あり き」の議論のはずだった。
  しかし、連立事業が行き詰まって以降、交通政策の考え方は大きく変化した。土井教授が説明する。「連立は車中心の発想。これはもう古い。今はまちにいかに 車を入れないかというカーフリーの考え方が広まりつつある」。連立構想が事業の一時休止という中途半端な形で残っていることが、次世代の交通政策やまちづ くりの議論の障害になっているとの指摘だ。
  経済界などから上がる「連立構想は早く終わらせるべき」との声は当然、委員の耳にも届いていた。「こうした空気の中で『この案で高架化を実現すべき』とは 言いにくいでしょう」。土井教授は「会議が苦痛」とした委員の気持ちを代弁する。
  委員会は「いくら計画を見直しても、事業自体が時代遅れ」というジレンマを抱えていたのだ。それゆえ、議論は課題の解決策を高架化以外に求める方向へと向 かう。
  その中で解決の糸口も見えてきた。本町踏切の混雑解消は、踏切の遮断時間を短縮することで朝のラッシュ時には渋滞が4割以下に短縮できることが判明。サン ポート高松の交通結節についても、高松築港駅のサンポート乗り入れに固執せずとも「まちのにぎわい創出の観点から、乗降客が築港駅からJR高松駅までを歩 くことに意味がある」という新たな視点が生まれた。
◆  ◆  ◆
  こうした高架に頼らない問題解決の方策を探る一方、委員会の当初の目的である連立事業の見直しについては、費用対効果や安全面から実現可能性の低い案を消 去。最終的に「残った」のがこの3案だった。
  土井教授は「3案とも○でなく、あくまで△」と強調。そして、「研究者の立場から言えば」と前置きした上で、「○をつけなかったということは『どれもすべ きでない』という意思表示ですよ」と本音を吐露した。委員会が事業の可否を決定する機関でなく、見直し案の検討が役目だったため、「△というぎりぎりの結 論」を出すしかなかった。
  「時代遅れ」の事業を見直すのに4年を要した委員会。この時間が無駄だったかといえば、そうではない。土井教授は「高架に頼らない課題解決策について議論 できたのは有意義だった」と振り返る。それは、自身も求める「脱・高架」の議論への布石になれたとの自負だろう。
  一方、委員会からバトンを託された県。委員会の結論を「非常に厳しい内容」と受け止める。連立事業を推し進めるには「△を○にする工夫を求められた」から だ。
  現行の連立計画は、当初の予定では来年度が事業完了年度で、来年度末には事業の認可が切れる。事業がとん挫したままでは、国から交付済みの補助金の返還を 求められる可能性がある。事業を再開するのか、それとも中止するのか。県の決断の時が迫っている。
■事業の経緯
用地買収などに47億円投入
  県都 の中心街区、琴電瓦町駅周辺。フェリー通りと並行に走る電車のレールを境に、まちは異なる表情を見せる。華やいだ雰囲気を持つ駅の西側に対し、線路を越え て東側に入ると店舗や人通りが減り、物寂しさが漂う。
  琴電の平面軌道による高松市中心部の東西分断。慢性的な渋滞を生むだけでなく、土地の一体利用も阻害してきた。そこで解決策として、浮上したのが連立事業 だ。県は1990年から地質調査に乗り出し、98年には都市計画決定。2000年3月には、国から事業認可を得た。

  県によると計画では、JR高松駅南側に高松築港駅を新設し、JR高徳線と交差する部分までの琴平線2.6キロと、瓦町駅から観光通り以北の長尾線の1キロ 区間を高架化する。
  実現すれば、市中心部28カ所の踏切が取り除かれ、慢性的な渋滞は緩和。東西の風通しが良くなれば、都市機能の活性化や再開発が期待できる。総事業費 340億円の一大プロジェクトだ。
  事業認可を受けた県は、10年度の完成を目指し用地買収などに本格着手。「あとは00年度中に琴電との間で工事協定を締結するだけだった」と、県都市計画 課の担当者は当時の状況を振り返る。

  ところが、協定締結直前の01年1月、コトデンそごうが破たん。計画に暗雲が漂い始めた。それでも、県は「連立事業への影響はない」としていたが、同じ年 の年末には琴電本体が破たん。工事協定を締結できないまま、琴電再建を待たざるを得なくなった。
  さらに3年後の04年10月、今度は県がつまずいた。財政状況が危機的なまでに悪化。大規模事業の見直しを余儀なくされる中、連立事業もその対象に。結 局、県は再開に含みを持たせる形で「事業の一時休止」を、公共事業継続の是非を審議する県公共事業再評価委員会に諮問。計画は暗礁に乗り上げた。
  再評価委は05年1月、県の諮問通り「一時休止」を答申。ただ、条件として、▽さぬき浜街道と交差する本町踏切などの交通混雑の解消▽琴電とJRの交通結 節機能の強化―といった課題解決に向け、当初計画の見直しを含む検討を県に求めた。
  答申を踏まえ、県は同年7月、今回の3つの見直し案を選んだ「高松琴平電鉄交差問題等検討委員会」を設置するに至った。
  これまでの用地買収などに投じられた費用は47億円。うち20億円は国の補助金で、残る金額の7割強を県、2割強を市が負担している。

【取材】金藤彰彦、福原健二

(四国新聞Webサイトより)


▼長尾線の元山田〜西前田間の連続立体交差事業
 2007年10月7日に長尾線の元山田駅〜西前田駅間(1.4km)の国道11号バイパス(高松東道路)との立体交差事業が完成し、長尾線の13カ所の 踏切が除去され た。また区間内の水田(みずた)駅が高架化された。(地図
 周辺は古くからの集落と新たに進出してきたロードサイドショップが混在するような場所だが、水田駅の周囲は静かで高松東道路の喧騒も届かない。

2011.11水田駅

2011.11水田駅前には未成の道路が長尾線に並行して伸びる

2011.11水田駅ではすれ違いが行われる

2011.11水田駅を出発した高松築港行き電車

2011.11水田駅付近の高松東道路

2011.11水田駅付近の高松東道路


▼琴電琴平線の高架橋完成 三条〜太田下 9日始発から使用  (2007年12月9日『山陽新聞』)
 国土交通省四国地方整備局と高松市、高松琴平電鉄(琴電、同市栗林町)が整備を進めてきた琴電琴平線の高架橋が完成し、9日の始発便から使用される。国 道11号高松東道路と交わる太田下町など計6カ所の踏切を廃止。同道路は10月の長尾線に続く高架化で、平面交差が解消される。
 琴平線の立体交差化は、同市三条町〜太田下町間の約950メートル。高松東道路のほか、同区間で線路と交わる市道5線の踏切が撤去される。
 高松東道路の踏切では朝の通勤時間帯(午前7〜9時)の2時間で上下計24本の電車が通過し、遮断機が下りるのは延べ約20分間。交通量調査(10月) で最大3分あった踏切を通り抜ける時間が解消され、慢性化している周辺の交通渋滞緩和が見込める。
 四国地方整備局によると、同道路の全線立体交差化で踏切がなくなった2地点を含む峰山口交差点(同市田村町)〜香川大医学部北交差点(三木町池戸)約9 キロの自動車の所要時間は、6分ほど短縮され約15分になるという。
 8日には同市伏石町の太田小学校で地元住民らが出席し、記念式典が行われた。踏切を横断する歩行者は午前7時〜午後7時の半日で約3,400人(同調 査)に上り、小中学校の通学路にもなっていることから安全性の向上も期待される。

2011.11三条駅側から高架区間を望む。複線分で施行されている

2011.11高架橋、周辺はマンションが林立し都市化が進行中

2011.11高松東道路と立体交差

2011.11太田駅側から高架区間を望む、背後は高松自動車道

 三条駅〜太田駅の駅間距離は2.3kmある。線路沿いは都市化が進行しマンションや住宅が林立している。せっかく高架化するならば、この区間に新駅地図)を作っても良かったのではないか。今からでも複線化用地を活用して片側 ホームだけ設置するような簡便なものならば、それほどコストもかからないと思うし…。駅名は「太田下町」 あたりが適当 ではないか。


▼琴電軌道LRT整備案/概算事業費35億〜91億 (2009年8 月8日『四国新聞』)
 高松市総合都市交通戦略検討協議会(会長・土井健司香川大工学部教授)の第5回会合が7日、市役所であり、琴電琴平線の軌道(高松築港〜仏生山間)に LRT(次世代型路面電車)を走らせる構想について協議。事務局側は前回協議で示した4案について、概算事業費を35億〜91億円とする試算を明らかにし た。
 各案は、
(1)琴電を現状維持してLRTを同時に運行する
(2)琴電を現状維持してJR高松〜仏生山間をLRT
(3)琴電を瓦町始発とし、JR高松〜仏生山間をLRT
(4)琴電を仏生山始発とし、JR高松〜仏生山間をLRTに一本化
の4つ。LRT用に7つの新駅を設けて利便性アップを図る。
 (1)以外はLRTの始発駅がJR高松駅となるため、高松海岸線や中央通りに新たな軌道を敷く。(1)(2)はフェリー通りと高松海岸線の変則交差点に 位置する本町踏切が現状のまま存続。(3)(4)はLRT専用信号を整備して同踏切を撤去する。琴電とLRTでは車両の床高が違うため、(1)(2) (3)案では共用駅でLRT用の専用ホームが必要になる。
 各案とも約半額を国補助でまかなう想定だが、(1)(2)は導入効果が低いことなどから、補助が受けられない可能性が高いという。
 各案とも、中央通りの渋滞誘発や乗り継ぎにかかる手間、ピーク時の輸送能力などの課題がある。この日の会合では、琴電側が定時性や大量輸送力の確保など への懸念を挙げ、琴電を瓦町・仏生山で切り離す(3)(4)案に否定的な考えを示した。事務局は今後、琴電側も交えて需要予測や事業採算性などの検討を行 う。
 また、参考として高松城跡南側から本町交差点にかかる琴電軌道を撤去し、三越高松店北側の県道や商店街のアーケードにLRTを通して片原町〜JR高松を つなぐ案も示された。


▼琴電仏生山駅で「バス・アンド・ライド」  (2004年10月 26日『四国新聞』)
 高松琴平電気鉄道(香川県高松市)とコトデンバス(同市)は25日、琴平線の仏生山駅で「バス・アンド・ライド」を始めると発表した。駅舎と香川町役場 間にバス路線を新設し、駅舎にはバスロータリーを整備。地域住民に電車が利用しやすい環境を提供し、集客増を図る。両社は12月1日の運行を目指し、準備 を進めている。
 琴電が構想する郊外型交通体系のモデル事業。電車とバスを結び、これまで路線のなかった住民の足を確保して集客につなげるとともに、駅の拠点機能を高め ることで新たな地域づくりも考えている。
 コトデンバスは6年前に利用客減少で同町を通るバス路線1本を廃止したが、町内の住民から路線新設の要望もあり、今年5月から本格的に準備を進めてき た。バスは現在、認可申請中。町は路線維持対策として赤字部分を補てんする。
 バスロータリーは、駅に隣接するコトデンスーパー跡地約410平方メートルに約2,700万円かけて整備。駐輪場約120台も設ける。完成予定は12月 中旬。
 バスはマイクロ2台を用い、町役場から住宅地沿いの約7キロを約20分で結ぶ。停留所は15カ所。1日43便で、仏生山駅のダイヤに合わせ、朝夕のラッ シュ時に多く運行する。
 5月末までの試験運行で、目標利用客は1日約210人。今後の利用実績を踏まえた上で、事業を本格化させる。
 琴電は、来年2月に導入予定の電車・バス相互のICカードを対応させる予定で、「乗り継ぎしやすい上、バスの定時性も確保できる。便利な交通機関として 利用してほしい」としている。


▼琴平線、待ち時間短縮へ−琴電が方針 (2004年10月27日 『四国新聞』)
 高松琴平電気鉄道(香川県高松市)は27日、琴平線の待ち時間短縮に向けて、挿頭丘駅(香川綾歌郡綾南町)を現在の場所から約200メートル南西側に移 し、ホーム内を複線化する方針を明らかにした。併せて、円座〜岡本間にも電車の行き違いができるよう一部を複線化する。これにより、高松築港〜琴平間の運 行間隔(現行30分)が10分短縮できる上に増便が可能となり、利便性が向上する。
 同日、香川県高松市片原町の市生涯学習センターで開かれた香川県や沿線自治体、香川経済同友会などで構成する「ことでん利用促進協議会」で、琴電が報告 した。
 複線化は、国や香川県の協力を受ける近代化補助事業として行う予定。事業開始時期は未定だが、今後、綾南町や住民らにも協力、理解を求めて用地買収など を始める。
 挿頭丘駅は約30段の急な階段があり、高齢者や身体障害者に不便を強いていた。住民団体からエレベーター設置の要望が相次いでいたことも踏まえ、新駅舎 をバリアフリー設計にする計画。また、一般道に近くなることでアクセス向上による新たな集客を見込む。
 一方、円座〜岡本間に敷設予定の複線個所は、香川県高松市西山崎町の国道32号近く。長さは約180メートルを予定しており、将来的にバスを乗り入れて バス・アンド・ライドを行う駅施設への変更も可能になる。
 同社は「琴平線が長尾線、志度線の基本ダイヤと同じ20分間隔運行ができると、瓦町での乗り継ぎが大幅に向上する。できるだけ早く取り組みたい」として いる。


▼琴電が新駅設置−仏生山〜一宮間  (2006年2月14日『四国新聞』)
 高松琴平電気鉄道(香川県高松市)が香川県高松市寺井町の琴平線仏生山〜一宮駅間に新駅「寺井駅(仮称)」を設置することが13日、明らかになった。駅 前には市がパークアンドライド用駐車場と駐輪場を整備する。開業は今年9月の予定。
 市が同日開かれた市議会公共交通対策特別委員会(大浦澄子委員長)で報告した。
 琴電の新駅設置は学園通り駅(長尾線・三木町)以来4年ぶり。寺井駅は無人駅で、国道193号の寺井高架橋下に85メートルの片側ホームを整備。1日 660人の利用を見込んでおり、ダイヤや運賃などは今後、同社が検討する。
 整備費は約8,100万円。国の鉄道近代化設備整備費補助金を活用し、国が約2,700万円、市が約4,600万円を補助する。
 駐車場と駐輪場は、市が高架橋下の県有地の無償貸与を受け、約1,200万円で整備。48台分の駐車場と230台分の駐輪場を設け、駐車場は駅利用者に 月額3,000円で貸し出すことにしている。市がパークアンドライド用駐車場を整備するのは初めて。
 寺井駅の設置をめぐっては、地元の要望などを踏まえ、同社と市が協議。パークアンドライドの実施で市南部から中心部へのアクセスが向上し、用地買収の必 要がないことに加え、本年度から新駅設置が同補助金の対象となったことで実現に弾みがついた。

▼「空港通り」駅、7月29日開業へ−琴電 (2006年6月5日 『四国新聞』)
 高松琴平電気鉄道(香川県高松市)は5日、高松市寺井町の琴平線仏生山〜一宮駅間に整備を進めている新駅の名称を「空港通り」駅に決定、7月29日に開 業すると発表した。
 名称は、新駅を設置する寺井高架橋下と交差する国道193号が高松空港への主要アクセス道路であり、県民に「空港通り」として広く定着していることから 採用を決めた。新駅〜空港間には子会社のコトデンバスなどと連携したバスの運行を検討している。開業は当初より1カ月ほど早い7月29日となる。
 空港通り駅は無人駅で高架橋下に全長85メートルの片側ホームを設置。駅前には高松市がパークアンドライド駐車場や駐輪場を整備する。1日当たりの利用 見込みは660人。ダイヤや運賃は今後、決める。

▼琴電、新駅開業に伴い29日ダイヤ改正 (2006年7月5日『四 国新聞』)
 高松琴平電気鉄道(香川県高松市)は3日、琴平線の仏生山〜一宮間に「空港通り」駅を開業するのに合わせて、29日から実施するダイヤ改正を発表した。 利用客の要望が多かった志度線から高松築港行きへの乗り継ぎを改善、最大12分だった瓦町駅での乗り継ぎ時間を5分に短縮する。
 琴平線は新駅の開業で停車時間が増えるため、朝のラッシュ時間帯に一宮発高松築港行きの2本を仏生山発に変更。下りの1本も一宮行きを仏生山行きにす る。
 また、高松築港〜滝宮間のうち乗降客が少ない朝のラッシュ後などの下り7本を一宮行き、上り5本を一宮発に変更。滝宮発仏生山行きは午後8時以降の2本 を減便する。
 長尾線では長尾〜高松築港間の運行が上下計4本増える。


▼琴電志度駅に16日オープン/パーク&ライド駐車場  (2009年6月5日『四国新聞』)
 高松琴平電気鉄道(香川県高松市)は16日、志度線の琴電志度駅(香川県さぬき市志度)の隣接地に、「パークアンドライド」用の駐車場を開設する。志度 線では初めての整備で、スーパー跡地約1,400平方メートルを購入した。
 月決めの駐車場41台は、ICカード乗車券「IruCa」を持つ電車利用者に限定し、料金は月3千円。1日(24時間)利用は10台を用意し、同駅で 300円の駐車券を販売する。
 希望者多数の場合は抽選し、8日までオープン前の募集を受け付ける。


▼「毎週金曜日は午前0時便」 ことでん、4月から終電増発 香川・高松市  (2010年3月10日『産経新聞』)
 週末の金曜日の夜は高松市中心市街地でゆっくり過ごしてください−。高松琴平電気鉄道(ことでん)は4月から、毎週金曜日に琴平、長尾、志度各線の下り 最終電車の発車時刻を繰り下げて増便し「毎週金曜日は午前0時便」として運行する。
 発車時刻は、琴平線(高松築港発琴電琴平行き)=高松築港午前0時・瓦町同0時4分▽長尾線(瓦町発長尾行き)=瓦町同0時10分▽志度線(瓦町発琴電 志度行き)=瓦町同0時10分。通常ダイヤより、琴平線の琴平行きが1時間半、長尾線が43分、志度線が48分の繰り下げ。
 「午前0時便」は、香川県が推進する「マイカー利用の自粛と公共交通機関の利用促進」の「エコ金デー」にあわせて、昨年4月から毎月最後の金曜日と12 月の金曜日に増発してきた。利用客から「設定日が分かりにくい」などの意見があり、4月から来年3月までは毎週金曜日(12月31日、2月11日は除く) に拡大することにした。


▼高松でパーク&ライド 市が11年度実験 バス専用レーンも検討  (2010年8月10日『日本経済新聞』)
 高松市は中心市街地の自動車混雑の緩和や公共交通の利用促進を目指し、2011年度にパーク&ライドなどの社会実験を実施する。高松琴平電気鉄道(高松 市)の郊外駅に駐車場を開設、車を置いて鉄道に乗り換え、中心部に行けるようにするほか、道路にバス専用レーンを設けることも検討。高齢者の利便性向上や 中心市街地の活性化、環境保全につなげる。
 高松市はこのほど「市交通戦略計画」を策定。社会実験はこの中に盛り込んだ。実験の実施に向け、今後、公共交通の事業者や警察などの関連機関と協議を進 める。満足度調査や利用実態調査なども実施、新たな交通体系の構築につなげる計画だ。
 パーク&ライドの社会実験は中心部から5キロメートル圏外に位置する鉄道駅に駐車場を開設、郊外から職場や学校のある市中心部に移動する際に鉄道を利用 してもらう。
 琴電志度線の大町駅、同長尾線の水田駅の2駅に駐車場を開設して実施する方針。既存の駐車場や土地を借 りることなどを検討している。マイカーを駐車場に 置いてバスの乗り、さらに鉄道に乗り換える実験を琴電琴平線の太田駅で 実施することも想定している。
 また、高松市南部と中心部を結ぶ6車線の国道11号線のうち、片側1車線ずつをバス専用のレーンとして公共交通の利便性を向上させる。中心部の回遊性を 高めるため、主要な鉄道駅や医療施設などを巡る循環バスの運行も盛り込んだ。
 高松市の調査によると、都心部の外から都心部に移動する手段は自動車が50%以上を占める。都心部の自動車交通量は、主要道路の国道11号線で1日 4〜5万台を超えている。一方で、公共交通の利用者は鉄道とバスを合わせて 14%程度で、琴電は利用者が低調に推移して いる。
 パーク&ライドなどによる新たな施策で、高齢者ら交通弱者の移動手段を充実させ、郊外から都心部にスムーズに移動できるようにすることで中心市街地の活 性化につなげたい考えだ。
 またLRT(次世代路面電車)などの新交通システムの導入について社会実験を行いながら中長期で導入に向けた検討をするとしている。

2011.11太田駅 周辺は住宅が密集

2011.11太田駅


【参考文献】
『定住自立圏構想 中心市宣言書』高松市、2009年
『2008年度 安全報告書』高松琴平電気鉄道、2008年
「ことでん復活!地域の足へ建て直しを図る 体質改善の取組みを見る」平澤 崇、『鉄道ジャーナル』2004年3月号所収

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