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札幌市交通局
公式webサイト
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最も新しい駅の1つ東西線・宮の沢駅 2013.6

西4丁目電停〜西8丁目電停 2013.6

札幌市営地下鉄のライバルでもあるJR北海道。札幌駅 2013.6

■はじめに
 「北の都」と呼ばれる札幌市。北海道の政治、経済、文化の中心であり、その人口は2010年10月現在で約191万人。人口規模では東京23区、横浜 市、大阪市、名古屋市に次ぐ全国第5位に位置する大都市である。
 しかしこのような大都市ではあるが、三大都市圏や福岡都市圏とは異なり大手民鉄は存在しない。都市内・都市圏の主な鉄道は札幌市営地下鉄とJR北海道の 各路線だけである。また札幌市は広域中心都市であるにも関わらず、昼間人口と夜間人口に大きな差がなく、札幌市内に通勤・通学する大半の人が札幌市内に居 住するという特徴がある。それはつまり郊外に路線網を伸ばすJR線よりも市内に路線ネットワークを広げる地下鉄を身近な公共交通機関としている住民が非常 に多いという特徴にも繋がっている。
 札幌で地下鉄の建設計画が進んでいた昭和30〜40年代は、札幌圏の旧国鉄線のローカル輸送の利便性は低く、公共交通機関としては市電とバスがメインで 輸送力に限 界が生じていた。また1966(昭和41)年には札幌での冬季オリンピック開催が決定したことも大きく作用して、地下鉄計画は急速に具体化し建設された。 そして札幌は1971(昭和46)年に東京、大阪、名古屋に次ぐ日 本で4番目の地下鉄都市≠ノなったのである。6大都市に数えられる横浜、京都、神戸の3都市に未だ地下鉄が存在しない中で、札幌にいち早く地下鉄が誕生 したというのは、札幌が持つ都市としての先進性≠フ象徴の1つであるように感じる。
 そして地下鉄の存在だけで終わらないのが、札幌の鉄道網の面白いところで、地下鉄の路線がカバーできない地域には路面電車を残したのである。大阪、名古 屋、横浜、京都、神戸といった東京以外の6大都市の公営の路面電車は1970年代までに全廃されてしまったが、札幌は僅か1路線だけではあるものの残した ので ある。そして近年はその路線を積極的に活用する方向に舵を切り、新型車両の導入が始まり、更には両端の電停を繋いで環状線化する計画も着々と進んでいる。
 大手民鉄の存在しない札幌だが、路面電車が残るという特徴は大都市としての懐の深さ≠示していると言えよう。同じように地下鉄はあるが民鉄の存在し ない政令指定都市としては仙台市があるが、仙台の場合は地下鉄網が札幌よりも貧弱であるのに路面電車を全廃してしまった。この都市経営の在り方の差が、両 市の発展にどのような違いを生み、更には今後どうなっていくのか、札幌が路面電車を活用する方向に動き出した中で、個人的に注目していきたいと思ってい る。

■札幌市各区と北海道の人口推移

1985 年10月
1990 年10月
1995 年10月
2000 年10月
2005 年10月
2010 年10月
札 幌市
1,542,979
1,671,742
1,757,025
1,822,368
1,880,863
1,913,545
(中 央区)
180,845
179,184
173,358
181,383
202,801
220,189
(北 区)
212,508
230,918
251,419
260,114
272,877
278,781
(東 区)
224,539
232,999
241,319
248,950
253,996
255,873
(白 石区)
(263,938)
188,043
192,102
197,223
201,307
204,259
(豊 平区)
249,956
(277,801)
196,126
204,700
209,428
212,118
(南 区)
141,743
148,393
155,650
156,787
153,021
146,341
(西 区)
(269,450)
190,807
194,308
199,385
207,329
211,229
(厚 別区)

112,623
122,738
127,718
129,720
128,492
(手 稲区)

110,974
129,484
136,006
137,601
139,644
(清 田区)


100,521
110,102
112,783
116,619
北 海道
5,679,439
5,643,647
5,692,321
5,683,062
5,627,737
5,506,419
北 海道に占める
札幌市の割 合
27.2%
29.6% 30.9%
32.1%
33.4%
34.8%
(『国勢調査』より筆者作成)
※厚別区は1989年に白石区から分区、手稲区は1989年に西区から分区、清田区は1997年に豊平区から分区

▼<札幌駅周辺 変わる街並み>上   地下空間開通7カ月 潜る歩行者、地上閑散 (2011年10月27日『北海道新聞』)

 札幌市中心部のJR札幌駅と大通をつなぐ札幌駅前通地下歩行空間が開通して7カ月余り。4月には創成川公園も完成し、都心へ人を集める2つの基盤が整っ た。だが、地下に人が集中し閑散とした地上では、集客に悩む 店や出店に慎重な企業も出始めた。冬になれば、人の流れはさらに地下に向かうことも予想され る。地上と地下、周辺地区も巻き込んだにぎわいをどう創り出すか、考えた。
(札幌圏部の合津和之、川浪伸介が担当します)

 大通公園の木々が鮮やかな赤や黄色に染まった10月下旬。札幌駅南口と同公園の約500メートルをつなぐ駅前通を歩く人は、見た目でも例年より少ないこ とがはっきり分かる。

駅前通の店、来客激減

 「地下歩行空間の開通で、ここまで人が減るとは」。駅前通沿いの老舗書店「アテネ書房」(北2西3)の中津川操店長はため息をついた。近くに大型書店が 開店した影響などで、ここ1、2年の来客数はピークだった20年前の半分に。それが、3月の地下歩行空間の開通後、さらに半減した。「夏になれば地上を歩 く人も増えると思ったが、みんな日差しを避けて地下を選んでいたようだ。今のままなら、いつまで店が持つか」。中津川さんの心配は膨らむ。

 医薬品や化粧品などを扱う「アインズ&トルペ札幌店」(北2西3)の有吉聡店長も危機感を強める1人だ。開通直後の来客数は前年同期に比べ4割も減っ た。夏場こそ2割減にとどまったが、最近は再び3割も落ち込んでいる。近隣に同業者はいないが、来客数の減少幅は8年前に開店して以降、最大だ。5人いた 社員を3人に減らし、パート従業員を他店に振り分けて経費節減を図っているが、「今後、降雪や積雪が客足にどう影響するか」と気をもむ。地下歩行空間と直 結したビルの中には客が増えたテナントもあるが、地下のにぎわいが集客に結びついた例は、ほんの一部だ。
 駅前通 周辺の人の流れの変化は、市などの調査でもはっきり現れている。
 札幌開建と札幌市は開通前後の地上と地下の通行量を調査。この結果、開通前(3月)の地上は平日2万9千人、休日2万8千人だったが、開通後の4月は地 上、地下合わせて平日は7万7千人、休日5万9000人と都心部を通行する人の数は急増した。だが、地上に限ると、平日1万1千人、休日1万人と激減。7 月でも、平日1万5千人、休日1万6千人とほとんど回復せず、通勤客、買い物客の多くが地下を通り、その流れは固定化しつつある。

出店見合わせる大型店も

 地上の通行量が大きく減ったことで、出店に二の足を踏む企業も出ている。

 2009年9月に札幌西武(北4西3)が閉店してから2年。現在、解体工事中の店舗は、高い囲いで覆われたままだ。跡地を取得した家電量販店大手のヨド バシカメラ(東京)は「決まっていることは何もない」とするが、当面、駐車場として整備する方向だ。ヨドバシが旧札幌西武の土地と建物を約85億円で取得 したのは1月。当初は老朽化した建物を建て替え、駅北口の現店舗から移転して売り場を拡大し、物販テナントも誘致するとみられていた。

 しかし、長引く不況 に加えて、東日本大震災の影響でテナントの誘致は難航。とりあえず、開発を急ぐよりも駐車場として整備する方が得策との考えに傾いたようだ。市内の不動産 関係者は「人の流れが地下に集まりすぎ、地上での商売の不透明さが増したことも影響している」とみる。ヨドバシ広報部(東京)は「じっくり状況を見据え、 計画を練っている」と説明する。売上高7千億円を超し、都心への出店が積極的といわれるヨドバシでさえ、駅前の一等地にもかかわらず、慎重になっているの が実情だ。

 三井不動産(東京)も、駅前通に建設予定の「札幌三井ビルディング」に、国内高級ホテルの帝国ホテル(東京)の誘致を進めたが、4月末に誘致を断念し た。札幌には世界的に知名度が高いホテルが少なく「需要は多い」とされていたが、帝国側は札幌の景気などを踏まえた上、採算を不安視して結局、見送った。 「高級ホテルの顔は、何といっても地上部の正面玄関。帝国側は今の駅前通の人通りも懸念したのではないか」とみる不動産関係者もいる。

 地下歩行空間の開通は、都心部に人を呼び戻すという目的では成功したように見える。だが、地上の店舗の空洞化という問題を一層、深刻にしている。

※本文中の「アテネ書房」は2013年6月30日で閉店した。理由はやはり「札幌駅前通地下歩行空間開通後、客が激減」したためとのこと。

▼<札幌駅周辺 変わる街並み>中 駅前通、ビル空室率減少 進むオフィス回帰  (2011年10月28日『北海道新聞』)

 「地下歩行空間の開通で、地上に出ずに札幌駅や大通駅に行ける。この便利さは従業員の採用などで大きな武器になる」。6月に「アーバンネット札幌ビル」 (北1西6)にコールセンターを開いた全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)の和田潤・札幌コンタクトセンター部長は期待を寄せる。
 センターには約260人のオペレーターが在籍。電話がひっきりなしに鳴り、東京を含む東日本全域の事故の対応や保険に相当する共済への加入促進を行って いる。多い日には1日1万件の電話があり、西日本を担当する福岡と並ぶ全労済の心臓部だ。

利便性、低賃料が魅力

 アーバンネット札幌ビルは、ビルから地下歩道を通って地下歩行空間に接続できるため、天候を気にせず大通駅や札幌駅にアクセスできるようになった。全労 済は当初、地震などの災害リスクが低いことやオペレーターの経験者ら人材が豊富なことから札幌開設を決めたが、和田部長は「オペレーターの間では、ビルの 立地の良さに満足する声が多い」と話す。利便性のよさが人材を確保する上で優位に働いたようだ。

 通行量が減って苦戦が続く地上部の商業者とは対照的に、駅前通沿いのオフィスの需要は好調だ。2008年のリーマンショック後、オフィスの空室率は上昇 していたが、地下歩行空間の開通後、駅前通地区ではビルに入居する企業が増えつつある。

 不動産仲介の三幸エステート(東京)によると、開通後の4月末の駅前通地区のオフィス空室率は10.9%。その後は5カ月連続で下がり、9月末は 9.5%に改善している。入居理由に利便性の向上や、それに伴う人材確保のしやすさを挙げる企業が多く、行政も誘致に力を入れているコールセンターが牽引 役になっているという。

 駅前通 への回帰を促しているのは利便性だけではない。同社によると、駅前通地区の大型ビルの平均募集賃料は3.3平方メートルあたり1万477円で、駅 北口の1万1157円よりも安く、「便利さの割に安価という値ごろ感も後押しし、郊外の企業が戻ってきている」と分析する。駅前通ではこのほか、リーマン ショックで価格が安くなったビルを買う動きもある。4月に札幌第一ビル(北2西3)を購入した道内賃貸ビル大手の桂和商事(札幌)は「オフィス需要の取り 込みを狙った。予想通り、入居したいという引き合いが多い」という。

“地下”で直結 北口にも勢い

 勢いは、駅前通だけでなく札幌駅北口周辺にも広がっている。

 「これまで札幌駅で分断されている印象があったが、それはなくなった。今や一体感すら出始めている」。12年春の完成を目指し、JR札幌駅北口に「札幌 北ビル」(北7西2)を建設中の三菱地所札幌支店の大鐘稔陽支店長は強調する。地上14階建て、延べ床面積2万7千平方メートルという駅北口最大級の同ビ ルは、北口広場の地下歩道で駅と直結する。今回開通した駅前通地下歩行空間により、ビルから地下を通ってそのまま大通に行くことも可能だ。
 現在、オフィスなどテナント誘致を進めており「震災の影響を心配したが、計画通り順調に推移している」(同支店)。地下歩行空間開通によるアクセス向上 を理由に入居を決める例もあるといい、大鐘支店長は「需要があると考え、ビル建設に踏み切った私たちの読みは間違っていなかった」と胸を張る。

 開発はさらに進む。札幌北ビルから直線距離で約400メートル西には、東急不動産が28階建てマンション「ブランズタワー札幌」(北7西5、13年3月 完成予定)を建設中。地下歩道でつながっていないが、札幌駅まで徒歩3分という近さが客のニーズをつかむと判断。同社札幌支店は「利便性も高くて緑も豊か な北口は、マンションの適地」と期待する。
 このほか、北口に近い北8西1でも地権者らが再開発を計画。現在、住宅やオフィス、商業の3機能を持つ複合施設に整備する構想を掲げて具体的な計画案づ くりを進めており、15年度以降の完成を目指す。

 地下歩行空間の開通を機に、オフィス需要が高まり、開発の動きも加速している。北海道不動産鑑定士協会は「今後も駅前通周辺への回帰現象は続き、ビルな どの集積は進む」とみている。


<札幌駅周辺 変わる街並み>下 増える都心の往来  集客への波及、難しく  (2011年10月29日『北海道新聞』)

 高層マンションが立ち並ぶ札幌市の創成川東地区。この10年で住民の数はほぼ2倍に急増し、二条市場の周辺には飲食店が複数入居する横丁ができた。一帯 は「創成川イースト」と呼ばれ、4月に創成川公園がオープンすると、散策する市民ら人の往来が増えた。

 ところが、周辺の飲食店の反応はいまひとつだ。二条市場の「のれん横丁」でイタリア料理店「Osteria YOSHIE」を営む吉江恵一店長は「確か に人通りは多くなったが、客は増えていない」。創成川公園に近い飲食店「石乃蔵」(中央区北1東2)の佐藤さとみ店長も「公園の効果は感じない」と渋い表 情だ。公園周辺に人を呼び込もうと、二条市場と狸小路商店街に挟まれた公園内の「狸二条広場」では7、8月、小樽ビールが会場を大通公園から移してビア ガーデンを開催。9月も秋祭りが開かれ、盛況だった。

 だが、狸小路に飲食店を構える40代女性が「にぎわったのは催事だけ。拍子抜けした」と明かすように、集客効果は限定的だった。公園周辺を行き来する人 は増えたものの集客に結びつかず、地下歩行空間のにぎわいを取り込めない札幌駅前通と似た状態が続く。

鍵は「回遊」の仕掛け

 札幌市は2002年、20年間のまちづくりの指針を策定。都心のイベントなどをつないで人を回遊させようと、4つの通りを骨格に整備を進めることにし た。縦の通りは「にぎわいの軸」と名付けた駅前通と「やすらぎの軸」の創成川通。横の通りは「うけつぎの軸」の北3条通と「はぐくみの軸」の大通だ。

 ただ、都心に集まる人を回遊させる仕掛けは容易ではない。
 札幌の都心では札幌冬季五輪の前年の1971年に地下鉄南北線が開業、それに合わせて駅前通を中心にビルの建設が進んだ。東西線の開業は5年後の76年 で、都心は札幌駅−大通−ススキノという、南北を軸に発展してきた歴史がある。

 南北線開業の年、創成川通の一部がアンダーパス化されたが、市内の不動産アナリスト志田真郷さんは「これを機に東西が分断され、人が創成川より東に行く 習慣がなくなった」と指摘。「40年続いた市民の心理的距離感を一朝一夕に埋めるのは難しい」と話す。
「線」から「面」へ続く模索

 都心西側も開発が滞っている。道庁赤れんが庁舎前から駅前通へ通じる北3条通。北側にオフィスビルの日本生命札幌ビル(北3西4)が立つが、南側は塀で 覆われたままだ。07年ごろ、この場所にあった札幌三井ビルディングの建て替えを計画した三井不動産(東京)が、市民や観光客が集まる北3条広場とビルの 建設を札幌市に提案。市も受け入れ、都心の発展を西から東へつなげる「うけつぎの軸」の基点として期待していた。

 当初の計画では、ビルは11年秋の完成予定。広場も同社が整備し、ビルと同時に完成するはずだった。しかし、リーマンショック後の景気悪化などでビルも 広場も着工は延期されたままだ。広場を人の滞留拠点と考える市にとって、着工延期は頭の痛い問題。市都心まちづくり課の高森義憲事業調整担当課長は「人を 回遊させる大事な拠点。早く着工してほしい」と苦渋の表情を浮かべる。
 三井不動産は、ビル建て替えについて「12年中に着工し、14年完成を目指す」(広報部)とする。ただ、概要や構成など具体的な内容はこれからだ。

 間もなく厳しい冬を迎える札幌。札幌大通まちづくり会社の広川雄一社長は「今冬は地下歩行空間があるので、都心の人の往来は減らないはず」と期待する。 だが、単に人が通行する「線」からマチを回遊して楽しめる「面」への転換には、まだ課題も多い。

※本文中の札幌三井ビルディングは2012年4月23日着工。竣工は2014年8月予定。日本郵政との共同事業で、当初は地上36階、高さ185メートル の道内一の高層ビルにする予定であったが(参 考記事)が、規模は縮小され地上20階、高さ約100メートルとなった。広場については、予定通り「北3条通」のうち、「日本生命札幌ビル」との 間を「(仮称)北3条広場」として新たに整備し、憩いと賑わいの空間を形成する。


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