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札幌市交通局(軌道線)

すすきの電停 2013.6

西4丁目電停 2013.6

▼かざすだけで運賃支払い 札幌の市電でもICカード実験  (2003年11月22日『北海道新聞』)

 札幌市が出資する第三セクターの札幌総合情報センター(高橋登社長)は21日までに、現在、市営地下鉄で実施している集積回路(IC)カードの実証実験 を、来年1月から市電に拡大することを決めた。ICカードは、読み取り機にかざすだけで料金が引き落とされるため、地下鉄との乗り換えをスムーズにした り、降車時の混雑を緩和したりする効果がある。路面電車へのICカード導入は、全国でも初の試みとなる。
 同センターは近く、営業運転に使われている電車30両すべての運賃箱に読み取り機を併設する。
 ICカードは、既に実用化されているウィズユーカードと違い、財布などから出さずに、かざすだけで済む。同センターは「仮に、乗客全員がICカードを使 えば、停車時間は30%短縮できる」と見込んでいる。
 この実験は、総務省が、ICカードを交通機関に導入したときのメリットを調べる目的で、同センターに委託して地下鉄で実施していた。現在、4千人の市民 モニターがカードを利用している。同センターは今回の実験に合わせて、市電を利用する500人のモニターを新たに募集する予定だ。
 札幌の市電は西四丁目〜すすきの間の約8.5キロを結び、1日平均の利用人員は約2万3千人。
 ICカードをめぐっては、これまで札幌市交通局やJR北海道、バス会社などが、札幌圏の公共交通機関への実用化について、実務者レベルで検討を重ねてい る。(佐保田昭宏)

▼架線なしで市電復活を (2005年1月 20日『北海道新聞』)

 JR苗穂駅周辺での市電復活を検討している住民組織「苗穂駅周辺まちづくり協議会」(辻健一会長)は、十九日の路面電車検討委員会で、北三条通への路線 建設を市に求める構想を決めた。建設投資を抑えるために、架線がいらない次世代型電車や、JR北海道が開発した線路と道路の両方を走行できる「デュアル・ モード・ビークル(DMV)」の導入を考えていく。
 構想によると、JR札幌駅前通から平和大橋付近まで約4キロを複線で整備。建設は市が行うが、運営は民間の出資を募って設立する新会社が行う。通常の電 車の場合、変電所や架線柱といった付帯施設への投資が膨らむため、技術開発が進む燃料電池を搭載した電車の導入を目指す。また、既存の電車と比べて車両コ ストが低いとされるDMVの活用も視野に入れる。
 同協議会は下旬の役員会で構想を正式決定。2月中旬に地元住民を集めたフォーラムを開き、市や開発局などに「まちづくりのための市電復活」の有用性を訴 えることにしている。(佐藤元治)

▼札幌市・路面電車存廃問題:上田市長、存続の方針−−経営形態など検討 へ/北海道 (2005年2月2日『毎日新聞』朝刊)
◇委員会設置、経営形態など検討へ

 札幌市の路面電車(市電)の存廃問題で、上田文雄市長は1日、市電を存続させる方針を表明した。05年度に学識経験者や市民で構成する委員会を設置し、 路線のループ化やJR札幌駅への延伸、民間事業者への業務委託を含めた経営形態などを、2年間をめどに検討する。
 上田市長は「存続を望む市民の声が強い。民間活力を導入し経営を効率化すれば、収支改善も見込める」と存続の理由を述べた。また、「市電を軸にした街づ くりが展望できる。環境面の利点もある」と市電活性化に強い決意をにじませた。
 市電は乗客減が著しく03年度の経常収支は1億4,000万円の赤字で、今年度は2億円を超える見込み。市は01年度から存廃を論議し、03年度中に結 論を出すとしていたが、「市民議論が十分ではない」と1年間先送りしていた。

▼札幌市電検討会議:札幌駅までの延伸提言 大通とススキノを結ぶ/北海 道 (2006年9月2日『毎日新聞』朝刊)

 路面電車の将来像について話し合う札幌市の路面電車検討会議(委員長・佐藤馨一北大教授)は1日、同市への提言をまとめた。市民や観光客の利用を進める ため、札幌駅近くまで路線を延ばし、大通とススキノを結ぶことが必要と求めた。同市は今後、技術や費用、有効性の面から実現できるか検討に入る。
 提言では、観光客やビジネス客の玄関口となる同駅のほか、地下鉄の都心各駅やバスターミナルにも結び、公共交通機関のネットワークを作る必要性を強調し ている。特に、同駅と大通、ススキノの接続は中心市街地の活性化に貢献すると指摘している。このほか、収支改善やサービス向上、周辺観光地やイベントとの 連携なども求めている。
 路面電車は西4丁目からすすきのまでの8.5キロ。路線のほとんどが都心部を外れた場所を走る。72年度には1日平均8万8,385人の利用があった が、04年度には2万227人に落ち込んだ。同年度の経常収支は6,200万円の赤字だが、1日当たり1,200人の乗客増があれば黒字転換できると試算 されている。
 路面電車は廃止が検討されたが、05年2月に存続が決定。これを受け、会議は同年8月から計7回の会合をもった。[去石信一]

▼札幌市電延伸、成否は 春から本格論議  (2010年01月29日『朝日新聞』)

 札幌市が西4丁目〜すすきの間(8.5キロ)を結ぶ市電の延伸に向けて、市内4地区を候補に具体的な検討を進めている。延伸は上田文雄市長の2期目の公 約。市街地の回遊性や高齢者らの利便性を高め、都心の車を減らす環境面の効果も見込めるというのが理由だ。だが、規模を拡大して採算が取れるのか、懸念も 根強い。市は収支の試算を含めた延伸計画を3月初めに市議会に報告する予定だ。4月以降、市民も交えて本格的な論議に入る。(三木一哉)
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■4地区候補、エコ期待
 市が延伸先として検討しているのは(1)札幌駅・すすきの・西4丁目一帯を結ぶ都心地区(2)サッポロファクトリー、苗穂駅などを含む北東地区(3)市 立札幌病院などを含む桑園地区(4)電車事業所の南側の山鼻南地区の4地区。いずれも市が2006年度の交通実態調査などをもとに選び、現存路線との組み 合わせや経営改革で黒字を見込めると試算したエリアだ。工事費は各地区40億〜50億円とされている。
 市が市電を重視するのは、排ガスを出さず、自動車の都心への乗り入れを抑制できる環境面に加え、車の運転が難しい高齢者らを市街地に呼び込む効果も期待 できるからだ。こうした利点に注目する自治体が増えており、富山市が06年に次世代型路面電車システム(LRT)を導入、注目を集めている。
 札幌へLRT導入を提唱してきた吉岡宏高・札幌国際大准教授(地域マネジメント論)は「都心での人の移動が容易になり、市街地の公共施設が有効活用でき る。将来はアジアに都市型交通システムとしてノウハウを輸出することもできる」と話す。

■経営再建の効果期待
 経営は02年度から赤字が続く。沿線の学校移転などで利用者が減るなどしたためで、08年度は人件費・経費などの経常支出が12億7千万円になり、赤字 額(営業損失)は2億2千万円だった。
 設備の老朽化も激しい。主力車両の200系(18両)は車齢半世紀前後。車庫も築42年で雨漏りだらけだが、赤字続きでは更新は難しい。整備業務の多く を外部委託し、合理化も限界に近い。土日祝日のフリー乗車券や沿線観光の宣伝もしているが、収支改善にはつながっていないのが現状だ。
 だが、1日2万人以上が利用する市電を廃止すれば、代替交通の問題が生じる。すでに廃止したバスを復活するのか、補助を出して民間事業者に任せるの か……。線路や電気施設の撤去費も含め、40億〜50億円と試算される。
 こうした点を総合的に検討し、市は将来を見据えた投資で、環境重視、高齢化対応の都心へと改造を進める方針を選択、人の流れを車から公共交通へ誘導する ことで経営を立て直せるとみる。経営方式も民間委託、民営化などへの転換を検討するという。路盤調査や設計などを経て、着工は13年度以降となる見込み だ。

■商議所は反対「効果に疑問」
 富山市で導入されたLRTは、郊外電車と路面電車網を再構築したもので、前身のJR富山港線では1日2千人余りだった利用者が約4千人に倍増、昨年度決 算まで3年連続で黒字を計上した。また、一度は路面電車を廃止した福岡市、京都市などは路面電車の「復活」を検討中だ。
 一方、宇都宮市や堺市では、市のLRT計画に対し、「多額の財政負担が必要で、将来の採算にも不安がある」という反対論も強い。札幌もこれまでの論議で 札幌商工会議所が反対を表明。「経営面、政策効果に疑問があり、特に地下鉄、地下道と三重の重複投資になる札幌駅前延伸には反対」としている。
 道内で市電を持つ函館市は将来的な課題として「路線の延長を検討する」としているが、現状では慎重姿勢だ。

▼札幌市電:延伸、都心・創成川以東・桑園の3地域対象に検討/北海道  (2010年3月3日付『北海道新聞』)
◇市、議会委員会で報告 黒字には「運賃値上げ」も

 札幌市中心部を走る路面電車(市電)の延伸について、市は「都心地域」「創成川以東地域」「桑園地域」の3地域を対象に具体的な検討を進める方針を示し た。2日の市議会財政市民委員会で報告した。ただ、現状のまま延伸しても赤字解消など安定経営は困難として、運賃値上げと経営合理化を合わせた議論が必要 としている。
 市は、06年実施の交通需要調査の結果を基に利用客見込みなどシミュレーションした結果、(1)JR札幌駅周辺の「都心地域」(2)「都心地域」から JR苗穂駅周辺の「創成川以東地域」(3)JR桑園駅周辺の「桑園地域」の3地域が妥当と判断。当初候補に挙がっていた中央区山鼻南地区は将来の需要の落 ち込みが大きいと判断され、除外された。
 各候補地域への延伸費用は48億〜56億円。運賃の10〜15%値上げと、人件費など経常費用の10〜15%削減で、収支均衡か黒字化が可能と見込む。
 市は、来年度以降に外部委員でつくる第三者委員会や市民フォーラムなどで意見を集め計画をとりまとめる。この日、記者会見した上田文雄市長は「少しの負 担で黒字化が可能なら議論の価値があるテーマ」と述べた。【仲田力行】

▼札幌市電の黒字化、値上げ不可欠 市が延伸後の試算  (2010年3月3日付『北海道新聞』)

 札幌市は2日、市内中心部を走る路面電車(市電)の延伸計画について、延伸後黒字化させるためには少なくとも10〜15%の運賃値上げが必要との試算を 市議会財政市民委員会に報告した。
 市は延伸先の候補地について、当初想定していたJR札幌駅などの都心、創成川東・苗穂、桑園、現路線から南方向に延ばす山鼻南の4地区から、利用増が見 込めない山鼻南を除外。
 残り3地区を単独、または組み合わせて延伸した場合、利用客は最大で1日約7千人ほど増えるものの、整備や維持のための経費がかさむため、いずれも「黒 字化は見込めない」と判断した。
 その上で黒字化には運賃の10〜15%値上げと、経営の効率化により、10〜15%経常費用を削減する必要があるとしている。
 延伸にかかる概算事業費は、都心(3.4キロ)56億円創成川東(1.9キロ)50億円桑園(1.7キロ)48億円。さらに、老朽化した既存路線の更新費に 100億円を見込む。札幌市は今後、市民の意見を聞いた上で2010年度中に延伸ルートを決定する。

▼札幌の路面電車が15年春にも環状化 (2012 年2月10日『共同通信』

 札幌市は10日、路面電車の西4丁目〜すすきの間をつなぎ、2015年春に路線を環状化する計画案を市議会財政市民委員会に報告した。バリアフリー対応 の新型低床車両も導入する方針。
 計画案によると、新たにつながる区間約400メートルは車道の中央を走る現在の路線と異なり、乗り降りしやすいように歩道側を走る「サイドリザベーショ ン方式」を採用。新車両は14年度までに計3両を導入する。
 市はJR札幌駅方面などへの延伸や、市が施設を保有し、第3セクターや民間など別の事業者が車両を運行する上下分離方式も検討している。(共同)

▼市電「歩道寄り停留場」賛否両論 (2013 年4月21日『読売新聞』
運輸業界「困る」、商店街は「歓迎」

 札幌市が計画する路面電車(市電)のループ化で、線路の位置が議論を呼んでいる。既存路線では道路の中央に置かれているが、新区間で設置を予定している のは道路両側の歩道脇。利用者には便利な反面、トラックの荷降ろしやタクシーの客待ちができなくなるため、運輸業界から「商売の妨げになる」と批判の声が 上がっている。

 市電のループ化が予定されているのは、西4丁目〜すすきの停留場の約400メートルの区間。6月に工事がスタートし、2015年春の開業を目指す。従来 の市電では、線路と停留場を道路の中央に設けている。だが、新区間では道路脇に設置することにした。乗客が道路を渡らずに電車に乗れるように、との配慮か らだ。新停留場は、狸小路商店街と駅前通が交差する近辺の歩道に設けられる。

 「停留場ができれば、商売はあがったりだ」。18日、狸小路前のタクシー乗り場で客待ちをしていた男性運転手(62)は、たばこの煙とともに不満を吐き 出した。線路が敷設されると、この場所を含む4か所のタクシー乗り場が廃止される。「狸小路から出てくる買い物客は、ここが一番乗りやすい。我々はお客さ んを見つけにくくなるし、利用者にも不便になる」

 北海道ハイヤー協会の照井幸一・専務理事は「利用客を確保できる場所がなくなるのは、大きな痛手だ」と困惑する。商業施設に商品を配送するトラックも影 響を受ける。北海道トラック協会の北村洋・常務理事は「店舗前に車を止められなければ、作業効率が落ちる。定刻通りの配送を待つ商店主たちにも迷惑が及 ぶ」と心配する。

 一方、線路や停留場が歩道脇にできることを歓迎する人たちもいる。「新たな人の流れができて、経済効果が高まるのではないか」と期待するのは、札幌狸小 路商店街振興組合の菊池恒理事長。新停留場は、狸小路の入り口に面しているため、「狸小路まで電車で行ってみよう」と足を運ぶ沿線住民が増えることが見込 まれる。狸小路だけでなく、近隣の商業施設でも利用者増に期待する。ある商業ビルの男性経営者(68)は、「近年は札幌駅前の商業施設に客を取られてい る。再びこちらに足を運んでもらう良いきっかけになる」と喜ぶ。

 市は、運輸業界にくすぶる不満を解消するため、南2条通と南3条通に、新たに荷さばき場やタクシー乗り場を設置することにした。だが、運輸業界の反応は 今ひとつ。トラック協会の北村常務は「駅前通沿いの店舗から、あまり離れるようでは困る」、ハイヤー協会の照井専務も「買い物客がすぐに分かる位置に乗り 場を用意してもらいたい」と話し、市に改善を求める構えだ。

 上田文雄市長は「運輸関係の業務に支障をきたさないよう努力し、理解を得たい」と話している。

▼低床車両乗り降りスムーズ 札幌 新型市電が運行開始 (2013 年5月6日『北海道新聞』

 札幌市の路面電車(市電)の新型低床車両1両が5日、運行を開始した。5月中は、通常便とは別に、臨時便として1日3往復6本が運行される予定。

 新型車両の導入は1988年以来。全長17メートル、幅2.3メートル、高さ3.8メートルで、白と黒を基調としたシンプルな外観。車内の床が現行車両 より50センチほど低い約35センチとなり、高齢者や身体障害者が乗り降りしやすくなった。


市民らを乗せて初運行した新型低床車両=5日、札幌市中央区南1西4


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