駅前電停手前で行き交う電車 2008.12 |
新川電停〜札木電停間 2007.2 |
駅前大通電停 2010.5 |
▼「駅前大通」の利用開始 豊橋鉄道の新電停 (2005年4月1
日『中日新聞』) 乗客をはき出しては、吸い込む路面電車−。豊橋市駅前大通で、こんな光景がよみがえった。31日利用できるようになった豊橋鉄道市内線(市電)の新電 停「駅前大通」。長年の夢がかなった地元の商業関係者らは、行き交う電車をうれしそうに眺めていた。 (重村 敦) 電停前で開かれた記念式典で、設置に奔走した豊橋駅前大通商店街振興組合の白井史夫理事長があいさつ。「中心市街地にとって新電停の設置は10年来の悲 願。この日を迎えたのは夢のよう」と喜びと感慨を交錯させながら語った。 電停は、電車の利便性を高め、中心市街地を活性化させよう、と1995年2月、商業関係者らが豊橋鉄道に設置を要望したのが発端だった。歩道橋の撤去が 伴うため、地域住民の中には小学生の通学路が危険になるとして一時、反対の声が上がったものの、中心市街地の発展に理解を求め、乗り越えた。市も車道の改 良や歩道橋の撤去などの費用を負担し、実現にこぎ着けた。 市民団体「とよはし市電を愛する会」の伊奈彦定副会長は「行政と市民、鉄道会社が協力して初めてできた。全国的に路面電車の経営は苦しく、新しい電停を つくるのは珍しい」と評価した。 電停のスタートに合わせ、まちなかの商店街やデパートで買い物をした人への市電の乗車券の配布や、電停の写真や絵が掲載された記念乗車券の発売も始まっ た。 豊橋丸栄の高羽隆社長は「車で買い物をする人も、3回に1回は乗車券を利用して、まちなかを歩いてくれれば」と期待をかける。白井理事長も「きょう半 日、電停を見ていたら、1台で10人ぐらい降りていた。利用のニーズは大きい」と力を込めた。小さな小さな電停だが、豊橋市の中心街再生の願いも乗せて、 ス タートを切った。 |
【豊橋鉄道市内線】 豊橋駅前から東に延びる長さ5.4キロの路面電車。 1925(大正14)年に豊橋駅前〜大手通札木十字路、豊明館前(神明町)〜柳 生橋の計1.9キロで開業。延長や廃線を経て、98年に「駅前」を豊橋駅東口の正面に移し、現在の姿になった。乗客数のピークは63年度の約957万人。 以後減少し、最近は横這いで2003年度は約261万人。 |
▼低床車両導入や電停改良 豊橋鉄道市内線活性化 (2006年5
月3日『中日新聞』) 豊橋鉄道(豊橋市南松山町)は、本年度から2010年度までの市内線(路面電車)の活性化事業計画をスタートさせた。低床車両の導入や電停改良などが盛 り込まれている。市民の足は、どう変わろうとしているのか。(越田普之) 同社が最優先課題として掲げているのが、床が低く乗り降りしやすい全面低 床車両の導入。将来的に全15両のうち5両を低床化する予定で、07年度にも新 車両の製造に取りかかる。昨年8月には、廃止された名鉄岐阜市内線から車体中央の床が低い部分低床車両を1両譲り受けた。 電停のバリアフリー化は本年度から取り組む。歩道をそのま ま利用している競輪場前電停では、専用の乗り場を設置する。08年度中に、札木、市役所前、豊 橋公園前、運動公園前の4電停の勾配を緩やか にし、乗り場の幅を広げる。 また、終点の赤岩口電停付近の空き地を使い、駐車場(約 30台分)の整備に本年度着手する。自家用車と路面電車を乗り継ぐ「パーク &ライド」で、利用者 の増加を図る。 同社渥美線と路線バスへのICカードの09年度の導入に合わせ、市内線も共通で使用できるカードを取り入れる。切符を買う手間を省き、乗り換えを便利に するのが目的だ。 04年度の市内線の利用者は、約262万人。最多だった1963年の約957万人の3分の1にも満たない。1986年度からは毎年営業損失を計上し、こ れまでの累計損失は7億円を超す。 ただ、昨年度は利用者が前年度より約20万人増えた。部分低床車両の導入や市や県の職員が路面電車通勤に切り替えた影響が大きい。この追い風を背に水野 忠之社長(62)は「まずは計画をもとに使い勝手を改善して、さらにお客さまを呼び戻したい」と意気込んでいる。 |