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4.名鉄の連続立体交差事業と高架化  
 名鉄はわりと高架駅が多い印象である。これは名鉄が高架化に積極的ということなのか、それとも「クルマ社会」である中京圏の自治体は開かずの踏切♂ 消に積極的に高架化を進めているのか、おそらく両方の要因がありそうだが、いずれにせよ多くの連続(単独)立体交差事業により各線に高架駅と地下駅が生ま れてきた。そして現在も知立駅などで事業中である。

■名古屋本線
▼知立市負担を県が軽減検討 名鉄知立駅の立体交差事業 (2012 年1月25日『中日新聞』

 名鉄知立駅で進む連続立体交差事業で、知立市の事業費の負担軽減を県が検討していることが分かった。乗換駅である知立駅の事業は、西三河の広域にわたっ て交通利便性を向上させる点を考慮した。県による負担軽減措置は異例で、国の制度創設に伴うものなども含めると、市の負担は23億円減ることになる。

 事業は知立駅の名古屋本線と三河線を高架にするもので、総額615億円。国と名鉄の負担分を除く260億円を、県と市が130億円ずつ負担することに なっていた。一般会計が200億円規模の知立市にとって負担は重く、県と市の割合を2対1に変えるよう、要望を繰り返してきた。

 軽減の対象は名古屋本線と三河線の乗り換えフロアや直接乗り入れるための「渡り線」の整備。県都市整備課は「主に知立市民以外の広域利用者の利便性を高 めるもので、市に負担を求める内容ではない」と判断した。

 これらを県が負担することで11億円、昨年度に創設された国の社会資本整備総合交付金制度などに伴って市負担がさらに12億円減る。
 県内では1973年以来、整備中も含めて10市で同様の立体交差事業が行われたが、県と市の負担割合は一貫して1対1。知立駅は前例を破る措置となる。 同課担当者は「1対1という基本的な考え方は変えない」と話している。一方、市は今後も2対1の負担割合を求めていくという。

 知立駅の立体交差事業は2000年に着工し、23年の完成を目指している。(浅井正智)

▼名鉄高架、まず茶所まで 岐阜〜岐南駅間整備で県方針 (2012 年12月13日『岐阜新聞』

◆加納駅と統合、新駅建設

 岐阜県は12日、名鉄岐阜駅(岐阜市)〜岐南駅(羽島郡岐南町)間約2.9キロの高架事業について来年度以降、名鉄岐阜駅寄り約1.5キロを先行して整 備を始める考えを明らかにした。厳しい財政事情などから構想案公表から10年以上凍結状態の大規模事業だが、整備区間を絞り込むことでようやく動き出す。

 事業は「開かずの踏切」解消などによる交通の円滑化や、鉄道に分断されない地域の一体的整備によるまちづくり進展が目的。1999年に国から着工準備採 択を受けた。翌年、構想案を公表。名鉄岐阜駅南から両市町境の境川まで約2.1キロを高架にし、加納駅と茶所駅を統廃合、新駅をつくることが柱だ。ただそ の後、地元説明や関係機関との調整や協議に時間を要した。さらに財政悪化による公共事業縮小で事業化のめどがたたない状況に。2003年と08年には県事 業評価監視委員会の再評価を受けた。

 以降、長年の懸案だったが、「まちづくりを進めるため大変な重要な事業」(古田肇知事)として、事業効果の高い1.5キロの先行整備で当面の事業費を抑 制する方針に転換。事業の進展を優先させた。総事業費は全区間で500億円超が見込まれるが、先行整備によって当面は半額程度に抑えられるという。国が約 51%、名鉄が7%、残りを県と市が負担する予定。来年度以降、概略設計に向けての具体的調査を行う。着工までにはまだ数年が必要だという。

 古田知事は同日の県議会一般質問で、藤墳守議員(自民)の質問に対し「8カ所の踏切解消や道路改良、交通結節点機能強化などさまざまな、大きな事業効果 が期待できる」と強調。岐阜市の日野和人都市建設部長は「県の財政が厳しい中で名鉄高架事業にとって大きな前進。市としても非常にありがたい。来年度以降 は名鉄や地元との協議を通して方針を決めたい」と話した。



■蒲郡線
▼蒲郡駅の連続立体交差化が完成 (2008 年3月27日『中日新聞』

 JR東海道線と名鉄蒲郡線の蒲郡駅付近連続立体交差化事業と、同駅の南駅前広場の完成記念式典が26日、同広場で行われた。
 立体交差化事業は1990年に県が着手。蒲郡市内を東西に走るJRを約4.3キロ、並行する名鉄を約2.2キロにわたり高架化した。踏切29カ所を立体 交差にして渋滞の解消を図るとともに、潮の干満の影響などで浸水被害が出ていた河川の改修も同時に進めた。
 市街地は線路により南北に分断されていたが、高架化完成で一体的な整備も期待されている。総事業費は約421億円。

 南駅前広場は、蒲郡駅の南側約1万2000平方メートルを2005年度から3年間にわたり市が整備。広場西側に一般車やタクシーの乗降場と有料駐車場、 東側にバスロータリーを配した。ロータリーの中央には、同市を拠点にヨットレースの最高峰アメリカズカップに挑戦したニッポンチャレンジ艇(全長約23 メートル)を展示。「海のまち蒲郡」をPRしている。総事業費は約3億3000万円。式典には関係者約150人が出席。金原久雄市長は「鉄道高架はまちづ くりの根幹をなす事業。築かれた都市基盤を基にさらなる発展を目指したい」とあいさつし、テープカットなどで事業完了を祝った。
(中山聡幸)

■三河線
▼高架化事業が終了 名鉄三河線・三河八橋駅周辺 (2009 年12月5日『中日新聞』

 豊田市花園町の名鉄三河線三河八橋駅周辺で進められていた鉄道高架化事業が終了し、新しい駅舎とともに12日から供用が始まる。騒音・振動軽減、渋滞解 消などの住環境の改善や、線路によって寸断されていた町の一体化が期待される。

 工事は2000年、伊勢湾岸道の建設に合わせて、地元住民の要望を受け開始。同市花園町から知立市八橋町までの2.1キロが対象区間のうち1.6キロが 高架化された。事業費は約100億円。

 高架化するための仮線工事は06年度、高架本体工事は07年10月から進められた。伊勢湾岸道と交差する場所については、県道とも交わり、「比較的珍し い」(市街路課)三層構造。東西に走る伊勢湾岸道が3階、南北の線路が2階、一番下が東西に走る県道になる。

 高架化に伴い、三河八橋駅も新しく整備。多目的トイレの設置などバリアフリー化を進めた。市街路課は「区画整理を含めたまちづくりも進めていきたい」と 説明している。(杉山直之)

12日から供用される名鉄三河線の高架線
(左)と仮線。上で交差するのは伊勢湾岸
道=豊田市で



5.名古屋本線の高速化を考える  
 JR東海道本線に押されっ放しの名鉄・名古屋本線だが、特に名鉄名古屋〜名鉄岐阜の凋落が著しい。名鉄ファン≠ニしては、そのような現状がもどかしく も悲しいわけだが、嘆いているだけでは空しいので、対策を考えてみようと思う。まぁ、単なる趣味者の戯言ではあるが、構想をぶち上げてみたい。おそらく全 国ン万人の名鉄好きが、各々意見を持っていよう。その一端に加わりたいという魂胆である。

@西枇杷島付近
 何といっても、名古屋本線最大の問題がこの西枇杷島付近の迂回っぷり≠ナあることは、衆目一致するところではなかろうか。実際、電車に乗ると栄生〜二 ツ杁にかけては特急でもゆったりと走っているので、なかなかイライラさせると言うか、もどかしいのである。何しろ競合するJR東海道本線がまっすぐ北上す るところを名鉄・名古屋本線は直交して西に向かうのである…。下記地図を見ても分かる通り恐るべき遠回りなのだ。
 そこで、私がぶち上げたのは下記地図で赤線で示した短絡線のA案とB案の2案である。栄生〜新川橋は現在の営業キロは2.9kmあるが、A案では約 2.3kmなので600mほど短縮される。短縮される距離は大したことないが、現在この区間を全て通過している特急でも4分弱程度かかっているものが1分 半〜2分になりそうなので、2分の時間短縮が見込まれる。この2分のために数百億円をかけて短絡線を建設するというのは、うーむ、我ながら厳しいと言わざ るを得ない。更にA案は栄生寄りのJR東海道本線・東海道新幹線と交差する処理方法が厄介そうであるし、二ツ杁駅の移転も必要なので何かと大変そうだ。
 そのため現状のルートをなるべく活かしつつ二ツ杁駅の移転もしないというのがB案である。この案では時間短縮は1分程度になりそうなので、ますます効果 は薄くなってしまう。
 ただ、どちらの案にせよ西枇杷島駅の前後で特急ですら徐行運転のようなスピードでちんたら走るという現状を打破したいというのが最大の目標である。乗客 の実感としてスピード感のある運転をしていると思わせるだけで、このプロジェクトは8割方成功なのである(笑)。



【参考文献】
『中部維新』日本経済新聞、2000年
「燃えよ名鉄 がんばれパノラマスーパー」『鉄道ジャーナル』、通巻第418号、2001年所収
「【特集】名古屋鉄道」『鉄道ピクトリアル2006年1月臨時増刊号』、通巻第771号

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